抄録
症例は75歳,男性.局所浸潤性膀胱癌(cT2N0M0)に対して根治的膀胱全摘術及びStuder法による代用膀胱造設術を施行した.術後20日目に多量の水様性下痢症状を認め,膀胱造影にて代用膀胱直腸瘻と診断した.代用膀胱内にフォーリーカテーテルを留置し保存的に加療した.4カ月後の膀胱造影にて瘻孔の閉鎖を認めた.代用膀胱直腸瘻は稀有な合併症であり,我々が調べえた限り,これまでに文献的な報告はみられない.症例を提示するとともに,代用膀胱・膣瘻に関する文献を参考に,その成因,診断,治療について考察を加えた.