日本泌尿器科学会雑誌
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原著
日本語版DVSS(Dysfunctional Voiding Symptom Score)の公式認証~小児質問票における言語学的問題を中心に~
今村 正明碓井 智子上仁 数義吉村 耕治Walid Farhat兼松 明弘小川 修
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2014 年 105 巻 3 号 p. 112-121

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抄録

(目的) 小児下部尿路症状(LUTS)の公式認証された質問票の必要性は高い.我々はその一つであるDVSS(Dysfunctional Voiding Symptom Score)の公式認証翻訳作業を行い,その調査過程で認知言語学的アプローチにより小児における言語学的留意点を検討した. (対象と方法) 標準的な公式認証手順にしがたい順翻訳,統合,逆翻訳,原作者の承認を経て,小児語版と成人語版の二つのDVSS日本語試訳第1版を試作した.5~15歳の知能障害のない患児と保護者により,認知言語学専攻のインタビュアー同席のもと,それぞれ小児語および成人語試訳版への回答を行った.質問票記載後のヒアリングで保護者が質問の意味が理解できなかった場合,また患児が保護者による言い換えや言葉の付加がなければ理解できなかった場合を「誤認」と定義した. (結果) 第一版ヒアリング調査の結果に基づいて修正第2版を作成し,再ヒアリング後に最終第3版を作成した.第1版では,対象症例は32例(男19例 女13例)であった.第2版では,対象症例は11例(男8例 女3例)であった.小児語版では時間および頻度の表現で誤認を認める一定のパターンがあった.ヒアリングで明らかとなった問題点を修正し,最終版とした. (結論) 日本語版DVSSについて公式認証作業を行い,成人語版と小児語版を作成した.小児は時間の感覚が乏しいため,問診票では時間や頻度の表現には注意が必要と考えられた.

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© 2014 一般社団法人 日本泌尿器科学会
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