日本泌尿器科学会雑誌
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原著
筋層浸潤性膀胱癌に対するネオアジュバントGC療法の検討
橋本 浩平進藤 哲哉伊藤 直樹
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2015 年 106 巻 1 号 p. 1-6

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抄録

(目的) 筋層浸潤性膀胱癌に対するネオアジュバントGC(gemcitabine, cisplatin)療法の効果を検討した. (対象と方法) 筋層浸潤性膀胱癌(T2-4N0-3M0)に対して,ネオアジュバントGC療法を施行した14例を対象に後ろ向きに検討した.摘除術標本における効果判定は,pT0およびpT1以下獲得率で評価した. (結果) T2症例は8例(57%),T3症例は6例(43%),N+症例は3例(21%)に認めた.病理結果は,pT0は4例(29%),pT1以下は10例(71%)に認めた.リンパ節転移について,術前リンパ節転移を認めたN1症例の2例はそれぞれ,pN0, pN3であり,N3症例はpN1であった.grade3以上の貧血,血小板減少,好中球減少,発熱性好中球減少は,それぞれ3例(21%),9例(64%),9例(64%),1例(7%)に認めた.観察期間中央値33カ月中,3例に癌死を認めた.pT0症例の4年全生存率が100%であるのに対し,pT0以外症例では47%であった(P=0.153). (結論) ネオアジュバントGC療法の効果を予測すると思われるpT0の割合が明らかとなった.筋層浸潤性膀胱癌においてネオアジュバントGC療法は有用である可能性が示唆された.

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© 2015 一般社団法人 日本泌尿器科学会
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