2015 年 106 巻 1 号 p. 7-11
(目的) ロボット支援前立腺全摘除術(RARP)におけるdorsal vein complex(DVC)処理法の変更による治療効果の比較. (対象・方法) RARPにおけるDVC処理法を,結紮後切断法(SL群,n=115)から切断後結紮法(PD群,n=62)に変更し,周術期成績,制癌効果,機能成績を解析した. (結果) PD法の導入後に特に合併症を認めなかった.手術時間,出血量はPD群で少なかったが術前後のHb値変化では有意差はなかった.断端陽性率はSL群で26.1%,PD群で11.3%(p=0.021)と有意差を認めた.尖部陽性率はSL群で9.6%,PD群で3.2%(p=0.12)と有意差はみられなかったものの減少を認めた.術後6カ月までの尿禁制については,pad1枚/日以内:SL群93.6%,PD群89.1%(p=0.21),Pad free:SL群67.3%,PD群67.5%(p=0.96)と両群で有意差を認めなかった.性機能温存についても6カ月時点でSL群43.6%,PD群41.7%(p=0.91)と有意差はなかった. (結論) RARPにおけるDVC処理法は,切断後に結紮する方法が尖部断端陽性率が少なく制癌効果に優れていたが,ラーニングカーブによる影響もあると思われた.機能成績に関しては結紮後に切断する従来法と有意差はなかった.