日本泌尿器科学会雑誌
Online ISSN : 1884-7110
Print ISSN : 0021-5287
ISSN-L : 0021-5287
原著
会陰式前立腺全摘術200例の手術合併症に関する検討
齊藤 誠一
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 106 巻 1 号 p. 18-24

詳細
抄録

(目的) ロボット支援手術の普及とともに会陰式前立腺全摘術を施行する機会は少なくなったが,多くの長所もあることから過去12年間の手術合併症の検討を行った. (対象と方法) 200例,平均68.5才,PSA平均9.4 ng/ml, Gleason score平均6.9, T1 168例(84.0%),T2 26例(13.0%),T3 6例(3.0%)の検討を行った. (成績) 手術時間は平均85.0分,出血量は平均220.0 ml,尿道カテーテル留置期間中央値7日,入院期間中央値14日であった.BMI30 kg/m2以上は11例存在したが安全に施行できた.同創部からのリンパ節郭清は20例に施行し転移はなかった.直腸損傷を前半の100例に行ったBelt法で7例(3.5%)に経験したため,後半の100例はYoung法に変更した.他に創部感染4例(2.0%),血腫2(1.0%),リンパ瘤1(0.5%),吻合部狭窄1(0.5%),鼠径ヘルニア1(0.5%),下肢末梢神経障害1(0.5%)を経験した.創部痛は円座で対応し,鎮痛剤は20例(10.0%)に必要とした.便失禁4例(2.0%)は一時的であった. (結論) 鼠径ヘルニア,吻合部狭窄の発生は少なく,尖部処理,尿道膀胱吻合,神経温存が容易であり,出血は少なく安全,短時間,低コストであり,下腹部手術既往者や肥満症例では第一選択としてよいと考えられた.

著者関連情報
© 2015 一般社団法人 日本泌尿器科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top