Anteroposterior dissection TUEBの初期成績

抄録

(目的) Anteroposterior dissection TUEBの初期成績について報告する． (対象と方法) 2012年10月から2013年6月までに単一術者によりAnteroposterior dissection TUEBを施行された21症例を対象とした．Anteroposterior dissection TUEBは，中葉を核出後，側葉を12時方向から6時方向へ順行性に剥離し核出する方法である．平均年齢73歳，推定前立腺容量62.8 ml，推定transition zone（以下TZ）容量44.5 ml, IPSSスコア15.5, QOLスコア4.1，最大尿流率（以下Qmax）8.6 ml/s，残尿量42.4 mlであった． (結果) 平均手術時間69分，切除重量27.3 g，ヘモグロビン低下量1.8 g/dlであった．術後3カ月の平均IPSSスコア5.9, QOLスコア1.9, Qmax28 ml/s，残尿量1.0 mlであり，術前と比べ有意な改善を認めた．被膜穿孔・膀胱損傷などの術時合併症はなく，術後合併症としてパットが必要な尿失禁1例（4.7%），処置が必要な尿道狭窄1例（4.7%）であった．なお尿道狭窄の評価は，術後1週，1カ月，3カ月に軟性膀胱鏡を用いて行った． (結論) TUEBにおいてAnteroposterior dissection法は安全に施行でき，術後尿道狭窄の発生率が低く有用な方法の可能性がある．