抄録
症例は75歳男性．肉眼的血尿のため初診．精査により左尿管および膀胱腫瘍を認め,腹腔鏡補助下左腎尿管全摘除術とTUR-Btが施行された．病理結果は,尿管がurothelial carcinoma（UC），high grade，pT3，pN2,膀胱がUC，high grade，pTaであった．術後化学療法として,gemcitabin・cisplatin療法を2コース，methotraxate・epirubicin・nedaplatin療法を1コース施行した．経過中に膀胱内再発を2度認めTUR-Btを施行し,病理結果はUC，high grade，pTaであった．膀胱内注入療法としてテラルビシン30 mg/回を施行したが血尿のため3回目で中止した．その後,血尿と全身倦怠感のため受診し，汎血球減少とALP 30,266 IU/lまで上昇を認め精査加療目的に当科入院となった．骨シンチグラムでsuper bone scanを呈しており,骨髄穿刺・生検を施行し，尿路上皮癌骨髄転移による播種性骨髄癌症と考えられた．輸血療法やゾレドロン酸投与により治療したが第20病日に死亡した．検索した限りでは海外・本邦ともに尿路上皮癌による播種性骨髄癌症の報告は認められていない．文献的考察を加えて報告する．
