症例は82歳，女性．他院にて右肩蜂窩織炎で抗生剤加療も炎症反応高値継続していたところ，CTで右水腎症を認め，2012年10月当科紹介初診となった．造影CTにて右水腎症と血管交差部付近の右尿管に壁肥厚，右腹壁に3 cm大の腫瘤を認めた．逆行性腎盂造影（RP）にて右中部尿管に陰影欠損を認め，右尿管洗浄細胞診はclass IIであった．右尿管癌の診断で2012年10月，後腹膜鏡補助下右腎尿管全摘除術および腹部皮下腫瘤摘出術を施行した．病理結果はUrothelial carcinoma，sarcomatoid variant，G3，pT3の診断であった．またこの際免疫染色でG-CSF産生を認めた．腹壁腫瘍も同様の所見で腹壁転移の診断であった．術後左腎転移，回盲部転移が出現し，2013年1月，腹腔鏡下左腎部分切除術および回盲部切除術施行．病理結果は右尿管腫瘍と同様で，肉腫様尿管癌転移の診断であった．その後も多発転移出現し，2013年3月，癌死された．肉腫様癌は同一腫瘍内に上皮性悪性腫瘍成分と非上皮性悪性腫瘍成分が混在して認められる腫瘍で，尿管原発肉腫様癌は極めて稀で，悪性度がきわめて高い．またG-CSF産生腫瘍も悪性度が高く，予後不良である．若干の文献的考察を加えて報告する．
