日本泌尿器科学会雑誌
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原著
当科における前立腺癌症例の臨床的検討―国内大規模臨床統計との比較―
高田 剛湊 のり子古賀 実菅尾 英木
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2015 年 106 巻 2 号 p. 79-88

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抄録

(目的) 当院における前立腺癌に対する治療成績を比較検証する.また国内大規模臨床統計と比較し,当科で選択した治療法の正当性を検証する. (対象と方法) 2000年1月からの13年間に当科で病理組織学的に診断した初発前立腺癌818例. (結果) 年齢47歳から100歳(中央値72歳).TNM stage別患者数I 30例(36.8%),II 303例(37.0%),III 101例(12.3%),IV 113例(13.8%).初期治療の内訳はアンドロゲン遮断療法(ADT)352例(43.0%),前立腺全摘除術242例(29.6%),放射線療法(外照射・内照射)136例(16.6%).全症例の生存期間中央値は56.3カ月,5年10年疾患特異的生存率は全症例92.0%77.8%,T1 100%100%,T2 98.7%97.4%,T3 90.7%38.5%,T4 60.8%38.9%. (考察・結論) JUA 2011(症例数11,385例)とは症例分布・初期治療選択・治療成績を,NUORG 2010(症例数2,303)とはD'Amicoリスク分類の分布を,J-CAPRA scoreを用いたリスク分類では無増悪生存・疾患特異的生存との相関を検証し相当の結果が得られた. (考察・結果) 国内の前立腺癌は海外に比べ診断時PSA・Gleason score・stageの高い症例が多く,初期治療としてADTが多く選択されることが特徴であった.

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© 2015 一般社団法人 日本泌尿器科学会
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