日本泌尿器科学会雑誌
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症例報告
発熱を主訴に診断された,原発性尿管癌と鑑別困難であった再発性尿管腔内播種を認めた上行結腸癌の1例
西山 隆一久保田 聖史寒野 徹岡田 崇東 義人山田 仁
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キーワード: 大腸癌, 尿路, 腔内播種
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2015 年 106 巻 4 号 p. 264-268

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抄録

症例は69歳の女性.発熱を主訴に当院を受診.既往歴として,5年前に上行結腸癌で右半結腸切除を受けたが,術1年後に局所再発し右水腎症を認めたため,化学療法(modified fluorouracil, leucovorin, and oxaliplatin(mFOLFOX6)+bevacizumabを4サイクルおよびfluorouracil, leucovorin, and irinotecan(FOLFIRI)+bevacizumabを12サイクル)を施行.PETで局所再発および右水腎症は消失した.

今回発熱精査目的における腹部CTで右水腎症および膿腎症を認めた.膀胱鏡検査では右尿管口に非乳頭型腫瘍を認め,骨盤部MRIでは右尿管内に多発性腫瘍あり,遠位病変は膀胱内腔に突出していた.

感染コントロール目的に経皮的右腎瘻造設術を行い全身状態が改善した後,経尿道的膀胱腫瘍切除術を行った.病理組織学的検査より,大腸由来の転移性管状腺癌と診断された.その後膿腎症の感染コントロール目的に右腎摘除術施行したが,受診10カ月後に上行結腸癌の局所進行により癌死した.

尿路外由来の癌が尿管腔内進展をする症例は,非常に稀であり,文献的に検索しうる限り,本例は9例目の報告である.さらに本症例は原発性尿管癌と術前鑑別診断が非常に困難であり,病理組織学的に上行結腸癌の尿管内播種の診断を得た.

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© 2015 一般社団法人 日本泌尿器科学会
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