日本泌尿器科学会雑誌
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症例報告
体重10kg前後の幼児上部尿路結石に対する経尿道的尿管結石砕石術の経験
西村 陽子守屋 仁彦三井 貴彦橘田 岳也菅野 由岐子今 雅史篠原 信雄
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2015 年 106 巻 4 号 p. 285-288

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抄録

幼児上部尿路結石に対する治療方針はいまだ議論のあるところである.体重10kg前後の幼児に対しHolmium:YAGレーザーを用いた経尿道的尿管結石砕石術(transurethral ureterolithotripsy,以下TUL)を行い,良好な結果を得たので報告する.症例1は2歳男児(身長78cm 体重9.6kg).21水酸化酵素欠損症に伴う先天性副腎皮質過形成症のためヒドロコルチゾン,フルドロコルチゾンを出生時より内服継続している.腹痛認め近医受診,精査にて右下部尿管に径9mmの尿管結石を認めた.手術は尿管口を拡張後7.5Fr膀胱鏡を尿管内に挿入してTULを施行した.結石成分はリン酸カルシウム69%,シュウ酸カルシウム31%であった.症例2は神経線維腫症1型の1歳男児(身長80cm 体重10.5kg).肉眼的血尿認め近医受診,左腎盂尿管移行部に径7.5mmの尿管結石を認めた.手術は4.5Fr尿管鏡を用いてTULを施行した.結石分析はシュウ酸カルシウムであった.2症例とも完全排石を得られ結石の再発も認めていない.幼児の上部尿路結石症に対するTULは体重が10kg前後の男児症例であっても安全に手術施行が可能であった.

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© 2015 一般社団法人 日本泌尿器科学会
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