日本泌尿器科学会雑誌
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症例報告
妊娠中に発見された褐色細胞腫の2症例
安井 将人服部 裕介植村 公一石田 寛明寺西 淳一湯村 寧三好 康秀近藤 慶一上村 博司
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キーワード: 褐色細胞腫, 妊娠
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2016 年 107 巻 4 号 p. 245-250

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抄録

(症例1) 31歳女性.妊娠19週時に高血圧を指摘され,精査にて左副腎腫瘍を認めた.血中・尿中カテコラミンが高値を示し,褐色細胞腫と診断した.ドキサゾシン4mg/日内服で血圧はコントロール良好であり,妊娠34週で帝王切開にて分娩した.出産2カ月後に後腹膜腔鏡下副腎摘除術を施行した.術後血圧は安定して経過している.

(症例2) 31歳女性.妊娠初期より動悸・頭痛を認め,妊娠29週で症状増悪し,血中・尿中カテコラミン高値とMRIで下大静脈背側に腫瘍を認め,異所性褐色細胞腫と診断された.ドキサゾシン4m/日,ラベタロール塩酸塩200mg/日にて血圧管理を行い,妊娠35週で帝王切開にて分娩した.出産1カ月後に開腹後腹膜腫瘍切除術を施行した.術後は降圧薬内服せず血圧は安定して経過していたが,術後7年後に同部位に再発を認め,再び開腹後腹膜腫瘍切除術を施行した.その後,再発無く経過している.

妊娠中に発見された褐色細胞腫の本邦報告例は少なく,母児ともに高い死亡率を示すとの報告もあるが,2例とも術前に十分な血圧管理を行い,二期的に腫瘍摘出術を施行することで母児ともに良好な経過を得た.

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© 2016 一般社団法人 日本泌尿器科学会
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