日本泌尿器科学会雑誌
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原著
腎移植後骨粗鬆症に対するデノスマブの初期治療経験
前鼻 健志田中 俊明舛森 直哉
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2017 年 108 巻 4 号 p. 175-181

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抄録

(目的) デノスマブはRANKLに対する完全ヒトモノクローナル抗体であり,原発性骨粗鬆症患者において高い治療効果が示されている.しかし腎移植後骨粗鬆症に対する治療効果の報告は少なく,当科における腎移植後骨粗鬆症に対するデノスマブの治療症例を検討した.

(対象と方法) 当科にて生体腎移植後フォロー中の患者にdual energy X-ray absorptiometryを施行し骨粗鬆症と診断,デノスマブを投与した4例を対象とした.

(結果) 投与12カ月後の骨密度は腰椎正面で平均5.5%,大腿骨頚部では3.0%の増加を認めた.骨代謝マーカー(Tartrate-resistant acid phosphatase-5bとIntact-procollagen type 1 N-terminal propeptide)は投与1カ月目に全例で減少し,その後も低値を維持した.全例で明らかな有害事象は認めず,移植腎機能も変化を認めなかった.

(結論) 腎移植後患者に対してデノスマブを使用したが,安全かつ有効に治療を行うことができた.

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