日本泌尿器科学会雑誌
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原著
腹腔鏡下尿膜管摘出術におけるポート位置の工夫
船田 哲寒野 徹吉川 武志久保田 聖史西山 隆一岡田 崇東 義人山田 仁
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2017 年 108 巻 4 号 p. 182-187

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抄録

(目的) 腹腔鏡下尿膜管摘出術は2014年4月より保険適応となっているが,標準術式は必ずしも確立されているとは言えない.当科における腹腔鏡下尿膜管摘出術の周術期成績,並びにポート位置の工夫,有効性を検討した.

(対象・方法) 2002年10月から2016年8月までに腹腔鏡下尿膜管摘出術を施行した20例を対象とした.カメラポートは臍右,ワーキングポートは臍上,右下腹部の3ポートとした.カメラは5mm 30度斜視鏡を使用した.患者背景,周術期成績について後方視的に検討した.

(結果) 年齢は中央値27歳(12~40歳),男性16例,女性4例,尿膜管洞18例,尿膜管性膀胱憩室2例であった.周術期成績は3ポート19例,4ポート1例,手術時間中央値220分(103~399分),出血量中央値少量(少量~260ml),臍形成18例,膀胱部分切除4例(2例で臍形成と膀胱部分切除を同時施行).合併症は腸管損傷2例,腹膜炎1例,創部感染1例,腸閉塞1例,急性腎不全1例,術後入院期間は中央値10日(5~19日)であった.癒着が強い症例において4ポートが必要となり,手術時間も長く,腸管損傷を認めたものの,19例は3ポートでの手術が施行可能であった.

(結論) 手術時間の短縮,合併症の軽減など課題はあるが,当院におけるポート位置はこれまで報告されてきたポート位置の利点を併せ持ち,標準化しやすい工夫の1つと考えられた.

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© 2017 一般社団法人 日本泌尿器科学会
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