2020 年 117 巻 2 号 p. 117-125
本邦における食道癌の多くは食道扁平上皮癌である一方,胃食道逆流症によって生じるBarrett食道を発生母地とするBarrett食道腺癌も近年増加傾向にあるといわれている.これらの疾患に対する内視鏡診断の進歩は著しく,特にNBI,BLIなどの画像強調機能の開発にともない,それらの機能を用いた内視鏡診断が確立してきている.一方,内視鏡治療の進歩も目覚ましく,ESDの登場により理論上リンパ節転移がないと判断される病変はすべて内視鏡で切除が可能な時代となった.しかし患者の状態や病変の状況次第ではより簡便なEMRによる切除や,APC,PDTなどの切除以外の内視鏡治療を行うことも検討するべきである.