日本泌尿器科学会雑誌
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症例報告
急速に進行した腎Mucinous tubular and spindle cell carcinomaの1例
小林 泰之新井 浩樹本多 正人寺田 晴子安原 裕美子
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2019 年 110 巻 4 号 p. 249-254

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抄録

腎mucinous tubular and spindle cell carcinoma(MTSCC)は2004年にWHO分類に加えられた腎癌の組織亜型で稀とされる.今回我々は急速に進行した腎MTSCCの1例を経験したので報告する.患者は75歳,女性.非定型抗酸菌症及びC型肝炎で経過観察中,左腎腫瘍を指摘され当科紹介受診となる.腹部CTにて長径約35 mmの左腎腫瘍を認めエコーガイド下に腎生検を施行,左腎癌(MTSCC)と診断し後腹膜鏡下左腎摘除術を施行.MTSCC,pT3aN0M0と診断し外来経過観察の方針となる.術後1カ月に施行した胸部CTで多発肺結節を指摘,気管支鏡下生検にて腎MTSCCの肺転移と診断した.術後2カ月で肺転移の増悪,縦隔リンパ節転移及び多発骨転移を認めた.積極的な治療は希望されず術後4カ月で癌死した.腎MTSCCは比較的予後良好と考えられてきたが本症例のように急速に進行する症例も存在するため注意が必要と考えられた.

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© 2019 一般社団法人 日本泌尿器科学会
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