日本泌尿器科学会雑誌
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原著
人間ドック受診者における泌尿器がん(腎がん・膀胱がん・前立腺がん)罹患率およびリスク因子に関する検討
野畑 俊介木内 正太郎渡辺 めぐみ森 厚嘉武藤 繁貴三宅 秀明
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2020 年 111 巻 4 号 p. 114-119

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抄録

(目的) 人間ドックの問診および結果から泌尿器がん(腎がん,膀胱がん,前立腺がん)の罹患率およびリスク因子を検討する.

(対象と方法) 2006年4月から2008年3月の間に人間ドックを受診した48,454名を対象とした.その後対象者が泌尿器がんに新たに診断されたか否かを調査し,各泌尿器がんの罹患率および罹患と相関するリスク因子を検討した.検討因子は,性別,年齢,総喫煙年数,body mass index,飲酒,20歳時より体重が10kg以上増加,ストレスの蓄積,十分な睡眠,十分な乳製品摂取,高血圧,糖尿病および脂質異常症とした.

(結果) 腎がん,膀胱がんおよび前立腺がんの罹患を,それぞれ45,47および215例に認め,罹患率はそれぞれ0.093,0.097および0.721%であった.単変量解析で有意な相関を示したのは,腎がんでは男性,高齢者,BMI高値,飲酒,体重10kg以上の増加および高血圧,膀胱がんでは男性,高齢者,総喫煙年数および飲酒,前立腺がんでは高齢者,総喫煙年数,体重10kg以上の増加,ストレス蓄積者および脂質異常症であった.次いで多変量解析を施行し,腎がんでは高齢者,膀胱がんでは男性および高齢者,前立腺がんでは高齢者および脂質異常症で有意な相関を示した.

(結論) 高齢者はいずれの泌尿器がんにおいても共通してその罹患と独立した相関を示した.

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