日本泌尿器科学会雑誌
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原著
夜間多尿による夜間頻尿に対する低用量デスモプレシンによる初期治療経験
林 圭一郎冨士 幸蔵大水 円夏平松 綾小泉 真太郎松原 英司齋藤 克幸山岸 元基佐々木 春明深貝 隆志石川 公庸小川 良雄
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2021 年 112 巻 1 号 p. 18-24

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抄録

(目的) 夜間頻尿はLUTSの重要な症状の一つであるがその治療に難渋することがある.今回,夜間頻尿に対する新規薬剤であるデスモプレシンの初期治療経験について報告する.

(対象と方法) 主に夜間頻尿を訴える男性LUTS患者に対してデスモプレシンを投与した25例を対象とした.投与前に72時間以上の排尿日誌により,夜間排尿回数が2回以上かつ夜間多尿指数が0.33以上であることを確認した.デスモプレシン(ミニリンメルトOD錠)を25mgまたは50mgを1日1回就寝前に投与した.投与前と4週後の夜間排尿回数,夜間尿量,就眠後第一排尿までの時間,就眠後第一排尿量,夜間多尿指数,IPSS,IPSS-QOL,OABSS,残尿量を調査し比較検討した.また,4週後には,患者自身による治療効果の評価を行った.また,1週後,4週後に問診と血液検査による安全性の評価を行った.

(結果) 夜間排尿回数の減少,IPSS,IPSS-QOLの改善を認めた.また,患者による治療の評価では72.6%の患者において効果を実感していた.安全性に関して,有害事象が28%で認められ,特に低ナトリウム血症が12%で認められた.

(結論) 夜間多尿による夜間頻尿の治療に関して,今後この薬剤がkey-drugの一つとなる可能性が示唆された.

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