日本泌尿器科学会雑誌
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症例報告
Best Supportive Care移行後に完全緩解した去勢抵抗性前立腺癌の1例
木瀬 英明
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2021 年 112 巻 2 号 p. 113-116

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抄録

78歳男性.67歳時に前立腺癌cT3bN1M0(Gleason score 5+5)の診断でアンドロゲン除去療法を開始した.その後,去勢抵抗性前立腺癌に移行したため,去勢術,ドセタキセル27コース,さらにエンザルタミド,アビラテロンを投与したが,新たに傍大動脈リンパ節転移が出現したため,カバジタキセルを25コース施行した.しかし,傍大動脈および骨盤内リンパ節の増大と,原発の増大による直腸圧排と尿閉,さらに全身状態も悪化したため,初診から約10年目に治療継続を断念,膀胱瘻を造設しBest Supportive Careとした.治療中止後から全身状態が改善傾向になり,約6カ月後にはPSA値が55.5ng/mlから19.3ng/mlまで下降し,リンパ節の縮小が確認された.そこで局所放射線照射を行ったところ,腫大した腫瘍が消失し自尿可能になった.現在,治療中止から約2.5年が経過したが,傍大動脈リンパ節,骨盤内リンパ節ともに1cm未満になりPSA値は0.008ng/ml未満が継続している.

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