2021 年 112 巻 3 号 p. 131-136
(目的) ロボット支援下膀胱全摘除術(Robot-assisted radical cystectomy:RARC)と腹腔鏡下膀胱全摘除術(Laparoscopic radical cystectomy:LRC)の周術期成績を比較しRARCを導入する有用性について検討する.
(対象と方法) 広島市立安佐市民病院で2018年7月から2020年5月までにRARCを施行した25例(R群)と2012年7月から2018年6月までにLRCを施行した79例(L群)を対象とし,患者背景,周術期成績,病理組織学的所見について後方視的に比較検討した.
(結果) 患者背景ではR群はL群に比較し有意に術前化学療法が多かったが(64.0% 対32.9%,P=0.009),その他の背景因子には有意差を認めなかった.手術成績では全手術時間(R群400分 vs. L群421分),全出血量(R群228ml vs. L群318ml)に有意差はなく,病理組織学的結果も差はなかった.術後合併症はR群がL群より有意に少なかった(24.0% vs. 52.6%, P=0.020).
(結論) LRCを施行している施設においてもRARCを導入する利点があると思われた.