日本泌尿器科学会雑誌
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原著
当院でのロボット支援前立腺全摘除術における術後アセトアミノフェン定時静脈・経口投与の効果の検討
横川 秀平田部井 正山口 克哉堤 壮吾今野 真思三山 健伊藤 悠城小林 一樹
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2022 年 113 巻 3 号 p. 103-109

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抄録

(目的) ロボット支援前立腺全摘除術における術後アセトアミノフェン定時静脈・経口投与の効果を検討した.

(対象と方法) 2019年4月から2020年12月にロボット支援前立腺全摘除術を行った173症例を対象とした.アセトアミノフェンを疼痛時のみ使用したA群,手術日~術後2日まで静脈投与したB群,B群に加え術後3~7日まで経口投与したC群に分け,予定外の鎮痛薬使用に対する因子を多変量解析で検討した.

(結果) A群110例,B群33例,C群30例だった.A群とB群でリンパ節郭清の有無(70.9% vs 36.4%,P=0.001),A群とC群でリンパ節郭清の有無(70.9% vs 33.3%,P<0.001)と術前ホルモン療法(20% vs 3.3%,P=0.029)で有意差を認めた.ロジスティック回帰分析により術後0~2日では,アセトアミノフェン定時静脈・経口投与の有無(A群vs B群OR=0.127;0.046~0.355,P<0.001,A群vs C群OR=0.133;0.046~0.390,P<0.001)が術後疼痛の独立因子であった.術後3~7日においてA群とB群の予定外の鎮痛薬使用に有意差は認めず,C群で予定外の鎮痛薬使用は1例のみだった.

(結論) ロボット支援前立腺全摘除術においてアセトアミノフェンの定時静脈・経口投与を行うと,術後予定外の鎮痛薬使用を減らすことができると考える.

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