2022 年 113 巻 4 号 p. 115-121
(緒言)男性の夜間多尿に伴う夜間頻尿に対して低用量デスモプレシンが使用可能となり,用量依存性の有効性が報告されているが,低Na血症等の副作用の報告も比較的高頻度に認めるため,年齢などを考慮し初期投与量を25μgとしている症例も少なくない.今回我々は高齢者に対するデスモプレシン初期投与量50μgの有効性と安全性について検討した.
(対象・方法)当院にて夜間多尿に伴う夜間頻尿に対してデスモプレシンを50μgで初期投与開始した45例を対象とした.1週後,4週後の有効性,安全性を排尿日誌に基づく夜間排尿回数,夜間多尿指数,就寝後夜間第一排尿までの時間,就寝後夜間第一尿量,夜間尿量,IPSS,OABSS,アテネ不眠尺度,身体診察,血液検査を用いて検討した.
(結果)平均年齢は78.3歳で既知の報告と比較し高齢であった.投与前と比較し1週後から夜間排尿回数の減少,夜間尿量の減少,就寝後第一排尿までの時間の延長,夜間多尿指数の改善,IPSS,IPSS-QOL,OABSS,アテネ不眠尺度の有意な改善を認めた.安全性に関しては有害事象を8例(17.8%)で認め,そのうち低Na血症は7例(15.6%)に認め,既知の報告と同等であった.
(結論)デスモプレシンは高齢患者に対しても初期投与量50μgで有用であり,定期的な観察を行い,適宜休薬,減量することで安全に投与可能であった.