2022 年 113 巻 4 号 p. 122-127
(目的)ハンナ型間質性膀胱炎(HIC)に対するジメチルスルホキシド(DMSO)膀胱内注入療法の初期経験から治療効果と今後の課題について検討した.
(対象と方法)HICに対してDMSOを投与した7例を対象とした.全例が過去に経尿道的ハンナ病変焼灼術を受けたことがある再燃例であり,DMSOは50mL膀胱内注入液50%を2週間毎6回投与した.治療評価は,膀胱痛に関するNumerical rating scale(NRS),O'Leary&Santの症状スコア(ICSI)と問題スコア(ICPI),24時間排尿回数,平均排尿量,最大排尿量の治療前後の変化で行い患者の総合的な改善度は質問票で行った.治療後には膀胱鏡を実施した.
(結果)全例が女性で平均年齢は58.3歳であり,5例が中等症例で2例が重症例であった.重篤な副作用はなく全例で6回投与が可能であった.治療前後のベースラインからの変化はNRSが-6.1点,ICSIが-9.1点,ICPIが-10.0点であった.また24時間排尿回数は5.34回減少し,平均排尿量は60.3mL,最大排尿量は75.7mL増大した.全例自覚症状は改善し,膀胱鏡ではハンナ病変が縮小していた.
(結論)HICの7例に対してDMSOの膀胱内注入を行い良好な治療効果と安全性について確認した.今後は初期治療としての使用も考慮できるためハンナ病変の正確な診断がより重要になる.