2023 年 114 巻 1 号 p. 1-7
(目的)当院における腎盂尿管移行部通過障害(UPJO)に対するロボット支援腹腔鏡下腎盂形成術(Robot-assisted laparoscopic pyeloplasty:RALP)RALPの初期成績を検討した.
(対象と方法)2008年4月から2021年10月までに当院で施行した腹腔鏡下腎盂形成術(LP)118例とRALP 22例のうち,再手術症例を除外し,dismembered法で再建したLP 104例,RALP 18例を対象とした.手術成績について後方視的に解析した.また,手術の各行程の所要時間を症例毎に検討した.
(結果)手術時間の中央値は,RALP群で141分で,LP群に比べて有意に短い結果であった.RALP群ではgrade 3以上の合併症は認めなかった.全例で症状の改善を認めた.RALPの縫合時間の中央値は38分であった.LPの直近20例と比較して,腎盂周囲の剥離時間,腎盂切開の時間,縫合時間でRALP群が有意に短かった.また,導入初期からコンソール時間,縫合時間は安定していた.水腎症のgradeが高い症例において,LPでは腎盂周囲の剥離と縫合時間でばらつきが大きかったが,RALPではばらつきが小さい結果であった.
(結語)当院でのUPJOに対するRALPは,安全に導入されていると考えられる.今後,長期的な成績を検討し,その有効性を検証する必要がある.