抄録
上腎杯と下腎杯および腎盂において筋電図および内圧の同時記録を行つて腎杯腎盂の相互関係について検討した.
上腎杯で一定の放電間隔を持つた微小放電が記録され, 上腎杯における内圧変動はその微小放電と1:1に対応していた. 下腎杯においては, 上腎杯のリズムとは異つているものの一定の放電間隔を持つ微小放電が記録された. 内圧変動は放電と1:1に対応していた. これら2つの大腎杯における内圧変動はお互いに干渉し合うことなく独立していた.
腎盂内圧は腎盂放電と1:1に対応していたが, そのリズムはいずれの腎杯のリズムとも異つていた. 腎盂内圧は腎杯収縮を反映することはなく, さらに腎杯内圧も腎盂内圧を反映していなかつた.これらの成績より, 腎杯腎盂移行部には括約作用が存在し, いわゆるペースメーカー部位である腎杯を保護していると言える.