日本泌尿器科學會雑誌
Online ISSN : 1884-7110
Print ISSN : 0021-5287
腎盂腫瘍に併発する尿管・膀胱腫瘍の検討
仲田 浄治郎増田 富士男大石 幸彦小路 良陳 瑞昌大西 哲郎町田 豊平佐々木 忠正谷野 誠古里 征国鈴木 良二藍沢 茂雄石川 栄世
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1982 年 73 巻 5 号 p. 584-589

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抄録

慈恵大学病院および関連病院で過去28年間に経験した腎盂移行上皮癌54例について主として併発する尿管腫瘍, 膀胱腫瘍に関して検討した. 症例は男子40例, 女子14例 (男女比2.9:1) で年齢は22~78歳, 平均59歳であつた.
腎盂腫瘍54例中, 尿管または膀胱腫瘍を併発したものは26例, 48%であつた. 膀胱腫瘍の発生時期をみると, 腎盂腫瘍診断と同時に認められたものは20例中7例であり, 13例は術後に発生し, その期間は3~26カ月, 平均9.8カ月であつた. また2例は膀胱腫瘍の治療後に腎盂腫瘍が発見された. 術後膀胱腫瘍の発生した症例についてみると, 術前に上部尿路の広範囲に腫瘍が発生している場合に頻度は高く, 術式では膀胱壁内尿管を含め腎尿管全摘除術を施行した場合に, 発生頻度は少ない傾向がみられた. なお病理組織学的検査では膀胱腫瘍の Grade は腎盂腫瘍の Grade と類似している場合が多く, また多くは表在性腫瘍であつた.

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