日本泌尿器科學會雑誌
Online ISSN : 1884-7110
Print ISSN : 0021-5287
免疫化学的測定法による前立腺酸性フォスファターゼ
第1報 免疫化学的測定法確立に関する基礎的検討
酒井 俊助加藤 直樹河田 幸道西浦 常雄沢田 英夫
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1982 年 73 巻 5 号 p. 590-598

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抄録

ヒト前立腺腺腫より硫安分画, phosphate-cellulose column chromatography にて精製された前立腺酸性フォスファターゼは, ホモジネート上清より回収率20%, 40倍に精製され, その精製 PAPase をウサギに免疫して得た抗血清は, 精製 PAPase, 前立腺組織および前立腺腺腫のホモジネート上清液とのみ特異的に反応した. 精製 PAPase に正常ウサギ血清添加の場合には56℃熱処理によりいかなるpHにおいても活性の消失を認めたのに対して, 抗血清添加の場合には56℃熱処理6時間後もpH4.6~pH5.8では100%の活性の残存を認めた. さらにその系に正常ヒト血清を添加した場合にも PAPase 活性の安定化を認めた. 以上より PAPase の免疫学的特異性を利用し, 血清中の PAPase 活性のみを特異的に測定することが可能となつた.

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