日本泌尿器科學會雑誌
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腎悪性腫瘍に対する油性制癌剤動注療法
今野 繁田中 淳一郎浦部 大策宮崎 文男野田 進士前田 浩今野 俊光
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1984 年 75 巻 12 号 p. 1874-1882

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抄録

油性リンパ管造影剤である Lipiodol に油溶性高分子制癌剤である styrene maleic acid neocarzinostatin (以下SMANCSと略す) を懸濁溶解したもの (以下SMANCS/LPDと略す) および mitomycin Cを溶解したもの (以下MMC/LPDと略す) を腎の悪性腫瘍2例に対して腎動脈より投与した.
Lipiodol は腎動脈内へ投与されると, 腎癌部に長く停滞を示した.
SMANCS/LPDを腫瘍最大割面面積1cm2あたり0.25mg投与した症例においては腫瘍の大部分が壊死に陥っていた. MMC/LPDを腫瘍最大割面面積1cm2あたり0.185mg投与した症例においては腫瘍の著明な縮小がみられ, 腫瘍の約1/3の領域において壊死が認められ, 本療法の腎悪性腫瘍に対する有用性が示唆された. 本療法の副作用としては, 発熱のみで, 従来の化学療法にみられたような胃腸障害や骨髄抑制は認められなかった.

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