睾丸腫瘍患者31例の血清IAP値を測定し, 同時に健常成人男子77例の血清IAP値を測定した. 睾丸腫瘍患者31例の平均血清IAP値 (699±337μg/ml) は, 健常正常男子 (396±86μg/ml) にくらべ有意に高値を示し (p<0. 001), IAP値の上昇は31例中17例 (54.8%) で認められた. stage 別に血清IAP値を検討すると, 転移のない stage I (425±110μg/ml) は対照群と有意差を認めず, 軽移をもつ stage II (743±258μg/ml) や stage III (980±366μg/ml) では対照群および stage Iとの間に有意差を認めた(p<0.001). 以上より, 血清IAP値は睾丸腫瘍患者の転移の有無をよく反映していると考えられる.
