日本泌尿器科學會雑誌
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経尿道的超音波断層法でみた膀胱尿管逆流防止機構に関する研究
土田 正義原田 忠西沢 理能登 宏光高田 斉
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1984 年 75 巻 12 号 p. 1921-1926

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抄録

膀胱尿管逆流 (vesicoureteral reflux: VUR) 防止機構の解明を目的として, 経尿道的超音波断層法により正常およびVUR症例の膀胱内尿管 (膀胱壁内, 粘膜下尿管) の観察を行なった. 正常例では正常尿量時には粘膜下尿管には一定の間隙がみられ, ureteral roof は尿管口に近づくにつれて次第に薄くなり, 尿管口部では尿管粘膜同志が約2~3mmの長さにわたって密着しており, 尿の排出に伴なう尿管口の開閉はあまり明瞭に描出されなかった. 中等度利尿時には尿の排出に伴ない, 尿管口が開いたり閉じたりするのが観察され, 高度利尿時には尿管口は常に開いたままであった. VUR症例では, ureteral roof の短縮が認められ, 壁内尿管も拡張していた. 正常例およびVUR症例でノルアドレナリン20μgの静注を行なったが, 膀胱内尿管には特別な変化は認められなかった.
以上の事実は, これまで私たちが提唱してきたVURの防止は尿管末端の粘膜同志が本来密着していることで行なわれているのであり, 特別の防止機構は不要だという説を裏付けたものである.

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