日本泌尿器科學會雑誌
Online ISSN : 1884-7110
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Tubeless 法による尿管皮膚瘻の運命と長期成績
有吉 朝美平塚 義治大島 一寛
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1984 年 75 巻 12 号 p. 1933-1938

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抄録

1969年以来15年間に, 主として骨盤内進行癌のため, tubeless 法による尿管皮膚瘻術を46名の成人に行った. 乳頭状の開口部 (stoma) 形成に成功したのは30名 (65.2%) で, 尿管が拡張しているほど, また照射療法を受けていないものほど成績は良好であった. Tubeless の状態を維持できたのは18名 (60%) で, 他の12名 (40%) は stoma の狭窄などの理由で, 早晩カテーテルの使用が必要になった. 7名の患者では, 2年3カ月から14年8カ月 (平均7年9カ月) に及ぶ長期観察を行うことができ, その間, 尿排出状態および腎機能に異常を認めなかった. このうち2名には遅発性の通過障害が発生した. 1名は, 2年3カ月後に胃癌の尿管転移を合併し, 他の1名は10年後に stoma の狭窄が進行したためである. 長期観察の結果, stoma の機能を阻害する変化として, 乳頭状 stoma の萎縮, 扁平上皮化生, 線維化, の3つが認められた. 症例の選択が許されれば一腎の機能が良く, 同側の尿管は拡張し, 照射療法を受けていないことが望ましい. また, 両腎機能が良い症例では, 交叉性尿管尿管吻合術の併用によって stoma を1つにすることができるが, 適応は, stoma の形成と維持とが確実な場合だけに限定すべきである. 現実問題として末期癌などで尿管皮膚瘻を必要とする場合には, 一側のみの手術がよい. そして, 尿管の状態にかかわらず tubeless 法に挑戦すべきである.

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