日本泌尿器科學會雑誌
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O'Farrell の2次元電気泳動法による雄家兎外尿道括約筋の解析
徳中 荘平岡村 廉晴大橋 健児八竹 直村上 梅司
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1984 年 75 巻 12 号 p. 1956-1963

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抄録

O'Farrell の2次元電気泳動法でミオシン軽鎖のパターンを観察することによつて, 速筋, 遅筋の鑑別が可能である. 今回, 我々は雄家兎の外尿道括約筋を含む尿道から, 筋原線維及び, 粗ミオシンを調製し, O'Farrell の2次元電気泳動を行つた. 筋型決定の指標には, 略々純粋な速筋として psoas (大腰筋), 遅筋として soleus (ヒラメ筋) を用いた. その結果, 外尿道括約筋のミオシン軽鎖 (LC) は大部分が psoas のLCと一致する, LC-1F, 2F及び3Fと, ごく微量の soleus のLCと一致する, LG IS, 1'S 及び2Sから成つており, LCのパターンと量比から速筋型であることがわかつた. また外尿道括約筋が白筋か赤筋かを決定するため, 透過型電子顕微鏡下で, ミトコンドリア及びZ線に関して, 外尿道括約筋を psoas 及び soleus と比較したところ, 外尿道括約筋は soleus と同様の構造をもつ赤筋であることが確められた. 近年, 種々の方法による分析から, 赤筋には遅筋型と速筋型の2種類あることが報告されている. 従つて, 我々は, 外尿道括約筋はその大部分が赤筋でかつ速筋である, 赤速筋で構成されている特殊な筋と判断した.

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