81例の膀胱移行上皮癌に内視鏡的膀胱内写真撮影を行なった. それらを腫瘍表面の形状に基き, 内視鏡的に6型に分類し, 膀胱癌取扱い規約に従って, 種々の角度から検討を加えた. その結果, 膀胱移行上皮癌の組織構築の違いより生ずる腫瘍の内視鏡的増殖様式の相違は, その腫瘍の発育進展様式や浸潤速度等と密接な関係を有し, 予後に深く関係していることが明らかとなった. すなわち, いそぎんちゃく状やいくら状の増殖様式を示すいわゆる乳頭状腫瘍は, 一般に, 腫瘍が大きくなるに従い, 又は, 再発をくり返すうちに下方 (壁内) 浸潤発育癌となるのに対し, 表面平滑な結節状の増殖様式を示すあんぼん状とでも言うべき腫瘍は, 早期から下方 (壁内) 浸潤発育を伴うと考えられた. 一方, 臨床的には, 乳頭状ともあんぼん状とも言えぬ, いちご状とでも表現すべき増殖様式を示す腫瘍があり, この腫瘍は, 乳頭状腫瘍とあんぼん状腫瘍の中間的又は混合した性質をもつと思われた. 以上のことから, 我々は, 組織構築を重視する山田らの分類を参考にして, 臨床的立場から, 膀胱移行上皮癌の新しい内視鏡的分類を提唱した.