日本泌尿器科學會雑誌
Online ISSN : 1884-7110
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最近の日本人の前立腺潜伏癌 (ラテント癌) の臨床病理学的検討
和田 鉄郎
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1987 年 78 巻 12 号 p. 2065-2070

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抄録

前立腺癌の初期像を検討することを目的に下記について検討を行った.
1983年から1985年までに東京慈恵会医科大学で行われた解剖症例の前立腺283例を対象に前立腺潜伏癌の発生率, 年齢分布, 前立腺内での発生部位, 病理組織について Step-section 法を用いて検討した.
潜伏癌は62例に認められ, 40歳以上の男性の24.2%に発見された. 年齢階層別に比較すると, 高齢者になるほど発生率は増加し80歳以上の症例では, 50.0%に認められた.
発生部位は外側1/2の領域に多く, また前方側にも約50%の発生を認めた. 上下方向の分布では, 精丘付近に多く発生していた.
病理組織学的には臨床的前立腺癌に比べて高分化型腺癌が多く認められた.
今回の検討で前立腺潜伏癌は特別な種類の癌ではなく, 生前には発見されにくかった癌であると考えられた.

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