日本泌尿器科學會雑誌
Online ISSN : 1884-7110
Print ISSN : 0021-5287
圧電式腎結石破砕装置による無麻酔体外衝撃波腎砕石術の経験
馬場 志郎出口 修宏早川 邦弘橘 政昭実川 正道畠 亮田崎 寛
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 79 巻 12 号 p. 1919-1927

詳細
抄録

体外圧電式衝撃波砕石装置 (ピエゾリス2200) を用いて1987年10月より3カ月間に腎・尿管結石に対する体外衝撃波砕石術 (ESWL) 50例を経験し, 3カ月の経過観察を終了したのでその成績を検討した. 腎結石は43例, 尿管結石7例で, 尿管結石は全例上部尿管であったため砕石治療前に腎盂内に挙上した. 両腎にわたり結石を認めた症例は11例で, 総計61 renal unit の82個の結石を砕石した. 結石の長径は9.9±5.6mm (mean±S. D.), 短径は6.8±3.6mm (mean±S. D.) であり尿酸結石3例, マグネシウム・アンモニウムリン酸結石1例を除く全例がカルシウム結石であった.
砕石治療は全例無麻酔で施行しえた. 1回の砕石治療で充分であった症例は35例で, 平均1 renal unit あたり1.3回の治療が必要であった. 1回治療群と複数回治療群では後者が前者に比べて, 結石数, 結石サイズおよび嵌頓結石の頻度が大きく, stone load に比例して衝撃波投与総数も多くなる傾向がみられた. 長径が10mm未満の結石は1回の治療に平均3, 348発の衝撃波を必要とし, 74%が完全に排石された. 治療前後で末梢血, 血清化学の検査成績を比較検討したが, 白血球数, BUNが一過性に上昇したがCPKを含めその他の検査値に異常は認められなかった. 治療後3カ月目の完全排石率は68% (34/50) であり, 3mm以下の残石を認めた13例を含めると94%に満足すべき砕石効果が認められた.

著者関連情報
© 社団法人 日本泌尿器科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top