日本泌尿器科學會雑誌
Online ISSN : 1884-7110
Print ISSN : 0021-5287
Prolactin と男子性機能障害
牧 昭夫
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1988 年 79 巻 6 号 p. 1002-1010

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抄録

高 Prolactin (PRL) 血症患者には性欲の低下, 勃起不全, あるいは精子減少症などが併発することが知られている. 一方, 性機能は, 中枢では serotonin (5-hydroxytryptamine, 5HT) により抑制され, dopamine (DA) により刺激されることが明らかになっているが, 5HTはPRL分泌を促進し, DAはPRL分泌を抑制することも証明されている. そこでわれわれは, 性機能障害とPRLとの関係を研究する目的で955例の性機能障害患者の血中PRL, FSH, LH, testosterone (T) を測定し, そのうち105例に対して血中DAと5HTをあわせ測定し以下の結果を得た.
1. 955例中, 高PRL血症例は85例 (8.9%) であった.
2. 50ng/ml以上の高PRL血症例は血中FSH, LH, T値のいずれもPRL正常値群より有意に低下していた.
3. インポテンス群の血中DA値は対照群 (性機能正常者群) と対比して有意に低下していた.
4. インポテンス群の血中5HT値は, 対照群と対比して有意に上昇していた.
5. 高PRL血症例では, 血中DA値は対照群と対比して有意に低下していたが, 血中5HT値は対照群と対比して有意差は認められなかった.

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