日本泌尿器科學會雑誌
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爆薬による体外腎結石破砕
東北大学における198例の臨床経験
神部 広一桑原 正明景山 鎮一黒須 清一庵谷 尚正田口 勝行斉藤 敏典折笠 精一伊勢 和久光川 史郎
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1988 年 79 巻 6 号 p. 1011-1018

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抄録

当教室で開発した水中微小爆発をエネルギー源とする体外衝撃波破砕法を適用した症例のうち, 半年以上を経過した198症例の成績についての臨床経験を報告した. 198症例のうち30例は本法の前に経皮的摘石術を行い, その残石に対して本法を施行したものであった. これら30例を除いた168例につき臨床成績を検討したところ, 完全排石したのは128例で, 4mm以下の微小残石例25例と合わせると153例 (91%) に満足し得る結果が得られた. 15例 (9%) は残石径が大きく (>5mm), 治療失敗例とした. このうち9例は本法施行後に経皮的摘出術を併用した. 全症例の平均衝撃波発射数は248発, 1症例あたりの平均施行回数は1.4回であった. 消化管出血の1例, 腎被膜下血腫の2例および菌血症の1例の外には重大な合併症はなかった. 腎シンチグラフィーによる腎機能評価では, 本法施行前後に統計学的な有意の変化は認められなかった. しかし, 結石破砕片の尿管内停滞による水腎状態が長期に及び場合には, 腎機能低下をきたす例があった.
本法の特徴は衝撃波発射回数が他法に比べて著しく少ないこと, 体位が坐位であること, ほとんどの症例で麻酔が不要であること等である.

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