日本泌尿器科學會雑誌
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腎動態機能検査法としてのMRIレノグラムの数理解析による研究
鳥居 伸一郎町田 豊平大石 幸彦舘野 之男福田 信男
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1988 年 79 巻 6 号 p. 1063-1069

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抄録

MRIは核磁気共鳴現象を利用した新しい画像診断法である. 我々はMRI造影剤 (Gd-DTPA) を用いた, MRIによる腎動態機能検査法の研究を行っているが, 今回は正常腎からの腎動態のコンパートメントモデルを作成し, その数理解析をおこなった. 動物実験は家兎を用い, 手術的に水腎症, 腎動脈狭窄を作成した後, Gd-DTPAを0.05mmol/kg投与し, MRI 0.1テスラにて90分T1 (300, 1, 000, 13) にて撮影し, 縦緩和率からMRIレノグラムを作成した. 数理解析はRunge-Kutta-Gill法および非線形最小2乗法をもちい, 左右別4コンパートメツトモデルにて, まず正常6例より腎血流量一糸球体パラメーター, および尿細管パラメーターの正常値を算出した. またそれらの値の変化より, 疾患シミュレーションをおこない, 実際のMRIレノグラムパターンと対比検討した. 一方実際の疾患モデルからパラメーターの算出を行った. 疾患シミュレーションによる検討から, MRIレノグラムは片側性水腎症, およびそれに伴う腎実質障害, さらに腎血流量の変化に対しては敏感に変化を示した. またパラメーター算出より, 尿路閉塞による腎実質機能障害の定量的観測が可能であった.

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