1988 年 79 巻 6 号 p. 977-984
膀胱腫瘍の組織浸潤リンパ球 (TIL) は腫瘍局所における免疫監視能の役割を担っていると思われる. ゆえにTILの機能活性を末梢血リンパ球 (PBL) と比較して検討した.
TILの分離は不連続比重遠心分離法を用いた酵素処理にて行った. フローサイトメトリーを用いて測定したところ, TILにはT細胞が43.6%, B細胞が10.5%およびNK細胞が13.1%認められた. TILをIL2にて4日間培養することにより, トリパンブルー色素排泄試験にて自己腫瘍に対する腫瘍増殖抑制能を認めた. またIL2はTILの phenotype において, cytotoxic Tおよび活性化NK細胞の増加を引き起こした.
ついでTIL, PBLの細胞障害能を4時間51Cr放出試験にて検討した. 標的細胞としてはK562細胞 (NK感受性), HT1197細胞 (膀胱腫瘍細胞株) および新鮮膀胱腫瘍細胞を用いた.