1989 年 80 巻 1 号 p. 35-38
我々は慢性非細菌性前立腺炎34例にリニア式経直腸的前立腺走査法を行い慢性非細菌性前立腺炎の画像診断と病態および臨床経過の関係について考察した.
リニア式経直腸的前立腺走査法において慢性非細菌性前立腺炎に定形的といえる所見は認められなかったが, 前立腺内部エコー像の乱れ, 被膜エコーの凹凸不整の変化がみられた. また, 67.6%の症例に前立腺結石が, 11.8%の症例に前立腺嚢胞が認められ, 超音波走査法は骨盤単純レ線像より前立腺結石および嚢胞性病変の検出において, はるかに優れていた. また, 前立腺結石は年齢層が高くなるにつれ合併率も高くなった. 臨床症状の再燃憎悪頻度と前立腺結石, 嚢胞性病変との関係を検討すると再燃憎悪頻度の高い症例に前立腺結石, 嚢胞性病変の合併が多くみられ, 前立腺結石, 嚢胞性病変の有無が慢性非細菌性前立腺炎の臨床経過を推測する上で重要であると考えられる.