日本泌尿器科学会雑誌
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進行性腎癌に対するLAK細胞の動注療法と, その臨床効果について
早川 正道増田 毅比嘉 功小山 雄三秦野 直小田 正美大澤 炯
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1989 年 80 巻 1 号 p. 28-34

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抄録

我々は3例の進行性腎癌患者に対して, 2つの異なった type のLAK細胞の分割動注とrIL-2の全身投与を併用した養子免疫療法を行ったので, その効果について報告する.
リンパ球分離を週1回行い, ついで Percoll を用いた密度勾配遠心法でリンパ球を2つのサブタイプに分け, おのおのをrIL-2と共に培養してLAK細胞を誘導した. 転移巣の栄養血管を介してLAK細胞を週2回動注した. 3例中1例において, 上臀動脈を介してLAK細胞を3ヵ月間動注することにより腸骨転移巣が明らかに消失した. また腰動脈へのLAK細胞動注により, 腸腰筋と傍大動脈リンパ節転移の消失および腰椎転移巣の縮小が得られた1例を経験した.
他の1例では, 脳転移に対して内頚動脈よりLAK細胞を動注したが, 脳浮腫が増悪し中止となった.
LAK細胞の動注療法は, 転移性腎癌の治療に有用であり, 今後とも期待される方法と考えられた.

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