日本泌尿器科学会雑誌
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腎盂尿管腫瘍46例の治療成績
阿曽 佳郎牛山 知己田島 惇鈴木 和雄大田原 佳久太田 信隆大見 嘉郎畑 昌宏増田 宏昭神林 知幸鈴木 俊秀北川 元昭中原 正男鈴木 明彦塚田 隆中野 優
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1989 年 80 巻 1 号 p. 69-73

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抄録

1977年11月に浜松医大泌尿器科が開設されて以来1987年3月までの約10年間に浜松医大泌尿器科およびその関連病院で治療した腎盂尿管腫瘍患者は46例であった.
腎盂尿管腫瘍46例の性別頻度は, 男34例, 女12例と, 約3:1で男に多くみられた. 年齢別では, 70歳代が17例と最も多くみられ, 次に50歳代, 60歳代の順であった. 組織型別では, 移行上皮癌44例 (95.7%), 扁平上皮癌2例 (4.3%) であった. 深達度別では, Tis 1例,T1 13例, T2 2例, T3 8例, 転移あり (M+) 15例であった. 異型度別では, G1 1例, G2 24例, G3 15例であった. 移行上皮癌全体の5年生存率は37%だった. 異型度別の5年生存率はG2 43%, G3 42%, 深達度別では, T1 71%, T3 46%, M+には5年経過したものはみられなかった. 異型度別には有意差はなかったが, 深達度別でT1とM+(p<0.001), T3とM+(p<0.05) の間に有意差を認めた. 部位別の5年生存率は, 腎盂腫瘍 (n=24) 38%, 尿管腫瘍 (n=20) 34%と両群間に有意差はなかった. 根治的治療のできた群 (n=24) とできなかった群 (n=20) についてみると, 5年生存率はそれぞれ63%, 7%であった.

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