日本泌尿器科学会雑誌
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膀胱腫瘍255例の治療成績
阿曽 佳郎牛山 知己田島 惇鈴木 和雄大田原 佳久太田 信隆大見 嘉郎畑 昌宏増田 宏昭神林 知幸鈴木 俊秀北川 元昭中原 正男鈴木 明彦塚田 隆中野 優
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1989 年 80 巻 1 号 p. 74-81

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抄録

1977年11月に浜松医大泌尿器科が開設されて以来1987年3月までの約10年間に浜松医大泌尿器科およびその関連病院で治療した膀胱腫瘍患者は255例であった. 性別は, 男198例, 女57例と, 約4:1の割合で男に多くみられた. 年齢別では, 70歳代が100例と最も多くみられ, 続いて60歳代, 50歳代の順であった. 組織型別では, 移行上皮癌242例 (94.9%), 扁平上皮癌11例 (4.7%), 腺癌2例 (0.4%) だった. 移行上皮癌242例の深達度はTis7例, Ta43例, T1 111例, T2 33例, T3 19例, T4 5例, 転移有り (M+) が14例であった. 異型度は, G0 6例, G1 66例, G2 100例, G3 64例であった. 深達度と異型度との間に相関がみられた. 組織型別の5年生存率 (Kaplan-Meier 法) は, 移行上皮癌64%, 扁平上皮癌58%であった. 異型度別では, 5年生存率はG0 100%, G1 73%, G2 73%, G3 40%だった. 深達度別では, Ta 81%, T1 81%, T2 35%, T3 41%, T4 40%, M+12%であった. 初回治療法別の5年生存率は, TUR (n=137) 81%, 膀胱部分切除 (n=4) 36%, 膀胱全摘 (n=56) 61%だった. TURと膀胱全摘, TURと膀胱部分切除の間に有意差がみられた. TUR後の5年非再発率は, 全体で58%, 異型度別で, G0 63%, G1 59%, G2 58%, G3 80%, 深達度別で, Ta66%, T1 57%, T2 50%, 形態別で, 乳頭状単発70%, 乳頭状多発40%, 非乳頭状には5年以上の経過例はなかった.

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© 社団法人 日本泌尿器科学会
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