日本泌尿器科学会雑誌
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回腸を用いた代用膀胱 (ileal pouch bladder) による完全膀胱置換術における臨床成績
鈴木 唯司三木 敬也相馬 博工藤 真哉田沢 宏嗣舟生 富寿
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1989 年 80 巻 4 号 p. 555-561

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抄録

我々は膀胱全摘術後, 回腸を用いた代用膀胱 (ileal pouch bladder) を作り, 自然排尿をめざしてきた. 代用膀胱は遊離回腸をのう状に縫合して形成し, これを尿道断端に吻合した. 尿管は単純に約2cm膀胱腔内に突出させて吻合した. 排尿は坐位にて手圧, 腹圧を刺激に行なう.
本術式を施行し, 予後を追跡しえた26症例の長期経過を述べる. 術後早期にはウロダイナミクス及びレ線検査より, 回腸膀胱は容量は少なく, 静止圧の急上昇を示すが, 徐々に膀胱容量は増加してゆき, 尿貯留時の内圧は低下する. 安定排尿時の平均膀胱容量は約250ml, 残尿は30mlであった. 大多数の症例は3時間に1回程度排尿していれぼ充分排尿をコントロールしうる. しかし, 夜間には尿失禁を示し易い.
手術的合併症は尿漏れが最も多く, 症例によりUVR, 水腎症が見られた.
症例を厳密に選択すれば回腸膀胱は非常に有用な方法である.

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