日本泌尿器科学会雑誌
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精子先体の形態学的評価. Spermac stain の有用性および round-headed spermatozoa について
佐藤 和宏佐藤 滋彰前原 郁夫折笠 精一
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1989 年 80 巻 4 号 p. 562-568

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抄録

新しく紹介された精子洗色法である Spermac stain 法を用い, 正常者10名, 不妊症者72名の精子先体の染色性と精子濃度, 精子運動能との比較検討を行なった.
正常者10名の先体染色陽性率は平均81.5%であった. 不妊症者における検討では, 精子濃度, 精子運動能と染色陽性率は, 推計学的に0.1%の危険率で有意の正の相関を示した.
5年以上の不妊歴を有する原因不明不妊症者8名中5名は精子濃度, 運動能が正常にもかかわらず, 染色陽性率は40~60%と低下していた. 精子頭部が丸く, 染色陽性率が極端に低い round-headed sper-matozoa と思われた2症例について精子, 精索の電顕像も含め報告した.
本染色法は外来レベルで短時間に施行でき, 精子先体の形態判定に有用であり, 今後精子侵入試験等と比較検討する事によって, 精子先体の機能判定の簡便なスクリーニング法となりうると考えられた.

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