日本泌尿器科学会雑誌
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腎血管性高血圧症
杉田 篤生
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1989 年 80 巻 5 号 p. 641-649

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抄録

腎血管性高血圧症の治療の主流は腎血行再建術であり, 複雑な合併症を有する症例においても血行再建の成功例がみられるようになった. ところが最近になって, 本症の治療において二つの大きな進歩がみられた. その第一は, Grüntzig らによって開発された経皮的血管形成術 (PTA) の本症への応用である. これによって本症の大部分の症例が, 外科的腎血行再建術の適応からPTAの適応となった. 第2は内科的治療法において, 本症の病態生理の本態であるレニン・アンジオテンシン系を選択的に阻害するアンジオテンシンI変換酵素阻害剤の出現である.
これらの出現により腎血管性高血圧症においては, その腎動脈狭窄の病因により治療法の選択が変化をみたので, この10年間における研究の概略をまとめ, 治療法の選択をいかにすべきかについて述べた.

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