日本泌尿器科学会雑誌
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Continent ileocecocolonic reservoir の臨床的検討
塚本 泰司熊本 悦明広瀬 崇興大村 清隆高木 良雄
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1989 年 80 巻 5 号 p. 719-727

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抄録

これまで13例に施行した continent ileocecocolonic reservoir の臨床経過を報告した.
手術方法には症例ごとにいくつかの改善を施してきたが, 最終的に以下の方法を用いた. 20~25cmの回盲-結腸, 12cmの回腸末端を遊離し結腸の腸間膜付着部反対側を15~20cm縦切開し detubularization を行った. 回腸末端部の腸間膜 (8cm) を除去すると同時に回腸に漿膜, 筋層に達する乱切を加えた. 回腸を盲腸内に引き込み重積させ, nipple valve を stapler で3列および nonabsorbable suture の前後1対, 2列で固定した. さらに, non-absorbable suture, dacron mesh を重積した部分の基部に置き, nipple valve を補強した. 粘膜下トンネル法により尿管を結腸紐内に植え込み逆流防止術を行った. 縦切開を加えた結腸の遠位端の近位端への折り返しと縫合を行い, Heinecke-Mikulicz 法による reservoir の re-configuration を行った. 回腸においた dacron mesh を腹直筋およびその前筋鞘に固定し, fiush type の stoma を形成した.
術後早期の合併症として reservoir-回腸瘻, 一過性麻痺性イレウス, 急性膵炎が3例に認められたが, 適切な処置で対処し得た. 初期の5例で軽度-中等度の incontinence が出現したが, reservoir の detubularization, nipple valve 固定の改善を行ったその後の8例は3ヵ月以上 continence を保っていた. このことは, detubularized reservoir の方が低緊張性, 高容量となっていた尿水力学的検査結果とも一致していた.
以上の結果から, 良好な機能を持つ continent ICC reservoir の作成には, reservoir の detubularization, nipple valve の固定方法の改善が重要と思われた.

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