日本泌尿器科学会雑誌
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HTLV-1 Associated Myelopathy (HAM) による神経因性膀胱の2例
浪間 孝重相馬 文彦今林 健一折笠 精一西村 洋介
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1990 年 81 巻 3 号 p. 475-478

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抄録

症例1 (24歳女性) は緩徐進行性の尿失禁 (14歳時発症) と歩行障害 (18歳時発症) を呈し, 高度な錐体路障害を認めた. 末血中に抗HTLV-1抗体 (1:640) が証明され, HTLV-1 associated myelopathy (HAM) と診断された. 尿流動態検査 (UDS) で, 病期の進行に伴い過活動膀胱と排尿筋括約筋協調不全 (DSD) の増強を認めた. 症例2 (48歳男性) は歩行障害 (32歳発症) と進行性の排尿困難を呈し, 高度な錐体路障害を認めた. 末血中に抗HTLV-1抗体 (1:200) とATL様細胞が証明され, HAMと診断された. 排尿時膀胱尿道撮影で膀胱壁の変形を認め, UDSでは, 過活動膀胱と著明なDSDが認められた. 2症例とも副腎皮質ステロイド剤と尿路機能調節剤を中心とした薬物療法と間欠自己導尿にて排尿障害はそれぞれ改善傾向を示した.

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