日本泌尿器科学会雑誌
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腎細胞癌患者の養子免疫療法に関する研究
第1編: 腎細胞癌患者の末梢血単核球機能および血中免疫抑制因子
薄井 昭博
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1990 年 81 巻 7 号 p. 1051-1057

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抄録

インターロイキン2 (IL-2) 産生能, IL-2レセプター発現率, および Lymphokine activated killer (LAK) 活性を測定し, 腎細胞癌患者の免疫能を検討すると共に, IL-2レセプター発現率, LAK活性におよぼす患者血清の影響を評価した. 腎細胞癌患者末梢血単核球のIL-2産生能は非腫瘍群と比較して抑制されていなかったが, IL-2レセプター発現率は臨床病期の進行とともに低下する傾向がみられた. LAK細胞の細胞障害性 (LAK活性) の検討では, 腎細胞癌患者末梢血単核球より誘導されるLAK細胞はDaudi細胞, ACHN細胞, 自己腫瘍細胞に対して明らかなLAK活性を示した. これに対して腎細胞癌患者血清はIL-2レセプター発現率, LAK活性誘導を抑制し, さらに正常人ボランティアの末梢血より誘導されたLAK細胞の effector phase における活性を抑制した. これらの結果より腎細胞癌患者血清中にはIL-2, LAK細胞を用いた治療の障害となる免疫抑制因子の存在が示唆された.

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