日本泌尿器科学会雑誌
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腎細胞癌患者の養子免疫療法に関する研究
第2編: 進行性腎細胞癌に対する血漿交換併用LAK療法
薄井 昭博
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1990 年 81 巻 7 号 p. 1058-1064

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抄録

腎細胞癌患者血清中には Lymphokine activated killer cells を用いた養子免疫療法 (LAK療法) の障害となる免疫抑制因子の存在が報告されている. そこで免疫抑制因子の除去を目的とした血漿交換療法をLAK療法と併用し, 10例の進行性腎細胞癌患者を対象として施行した. 免疫学的指標では, 末梢血リンパ球数の増加, NK活性の亢進,およびLeu11陽性細胞の増加がみられた. 評価可能9例における臨床成績はPR1例, NC5例, PD3例であった. PR症例以外では, NCであった2例で一部の肺転移巣の縮小が認められた. 重篤な副作用としては脳転移を有する2症例で脳浮腫の増強による症状を認め, 1例で血漿交換療法によると思われる急性肝炎がみられた. また, 大半の症例で腎機能の可逆性低下が認められた.
これらのことより, 本療法は進行性腎細胞癌の治療として期待し得ると考えられた.

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